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読書教育について知る

「自立した読者」を育てる

学校教育の限界

今日、国語教育や生活指導の一環として「朝の読書」と呼ばれる取り組みが全国に普及しています。毎朝、1時間目が始まる前に全校生徒と全教師が一斉にそれぞれが読みたい本を読むこの活動は、千葉県のとある2人の高校教師の教育実践から始まりました。短時間でも毎日読むことで、読解力をはじめとする学力の向上や生徒の生活態度の改善などが期待されており、今では全国の8割以上の小中学校で実施されています。

また、学校現場における読書活動といえば、読書感想文の執筆も夏期休暇の課題などとして広く浸透しています。上手く表現できず、苦労した経験のある人は少なくないでしょう。

 

 

これらの他にも、国語科の授業の枠組みの中でビブリオバトルやPOP・帯の制作が推奨されるなど、学校現場において様々な読書教育が取り組まれてきました。しかし、果たしてこれらの活動は、期待されたような成果を上げているのでしょうか?

私たちは、これらの取り組みでは不十分だと考えています。

 

そもそも、読書教育の最も重要な目的の1つとして、「自立した読者」の育成が挙げられます。「自立した読者」とは、自分から本に手をのばして自発的に読書を楽しむような理想的な読み手のことですが、この「自立した読者」の育成という点で、既存の学校教育には限界があると言わざるを得ません。

 

この限界が顕著に表れているのが、学校読書調査(全国学校図書館協議会・毎日新聞社)です。

 

確かに、小学生~高校生の1ヶ月の読書量と不読率(1ヶ月間1冊も読まなかった人の割合)は改善傾向にあり、小中学生においては統計開始以来最高水準に達しており、子どもの読書離れはある程度解消されたと言えないこともないでしょう。しかし、ある意味で強制的に児童・生徒に読書させる取り組みといっても過言ではない朝の読書が広く普及している現状に鑑みれば当然の結果だとも言えます。

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高校生の読書クライシス

むしろ、ここで見逃してはいけないのが、読書量・不読率ともに中学生と高校生の間で大きな隔たりがあることです。これはつまり、少なくとも統計上は本に親しんでいたはずの小中学生が、高校に入学して学校のカリキュラムの中で本に触れる時間がなくなったとたんに、読書しなくなってしまっているということに相違ありません。これは、学校教育では「自立した読者」を育成できていないという実情の表れであり、「高校生の読書クライシス」とも言われる、学校における読書教育を巡る深刻な課題となっています。

 

学校読書調査では、高校生が読書していない原因として、「部活や生徒会等で時間が取れないから」「他にしたいことがあったから」「普段から本を読まないから」とした回答が多いようです。これを受けて、文部科学省の報告では、読書の優先順位を上げるきっかけづくりや、読書習慣の形成の大切さが強調されています。

しかしながら、私たちは、それでは本質的な解決には繋がらないと考えています。私たちは、その本質的な原因を調べるため、書籍・論文等での文献調査に加えて、学校司書や書店員、児童文学の翻訳者、大学の児童文化学講師など読書教育に携わる様々な方と対話を重ねて質的なヒアリング調査を行いました。

 

その結果明らかになった高校生の読書クライシスを引き起こしている原因は、子どもたちが学校での読書教育の中では読書の本当の楽しさを実感できていない現状です。