この度、全国オンライン学生祭の運営様よりご依頼いただき、読書教育NPO団体Dor til Dorとして第2回全国オンライン学生祭にて文芸コンテストの審査を担当させていただきました。
この全国オンライン学生祭は多摩生徒会協議会など高校生が企画・運営する学生のためのオンラインイベントです。大会の模様はYouTubeにて公開されています。
ロシアによるウクライナ侵攻が話題となる中、「平和・共生」をテーマに掲げた文芸コンテストには、全国のたくさんの学生から文学作品が集まりました。イベント中の結果発表では、人気ユーチューバーのでんがんさんに審査員総評を代読いただきましたが、改めて最優秀賞・優秀賞への審査員講評と審査員総評を掲載いたします。
最優秀賞 審査員講評
心理的な平穏は無関心からくるのではないか、そんな発想が光る一作。ロシアによるウクライナ侵攻に対して、何かアクションを起こすべきだと分かっている一方で、ある意味無関心だからこそ自分の心を守ることができているんだと気づいた葛藤を、200字という決して長くはない中でうまく言語化している。一筋縄ではいかない平和・共生というテーマにふさわしい作品。
優秀賞 審査員講評
作者のやさしさと視野の広さが秀逸な作品。この作者にしか実現できない平和にいつかたどり着いてほしい。自分と「あの子」の間に無意識に建ててしまっている壁を取り除くことが、共生への第一歩なのかも。
審査員総評
まず、昨今のウクライナ情勢の犠牲になった方々に謹んで哀悼の意を表します。その上で、このウクライナ侵攻を題材とした作品が多く見られましたが、ニュースを表面的に捉えてロシア人を悪だと単純に糾弾するような作品が無かったことに安堵しています。
「平和」「共生」というテーマは、人類に課せられた宿題みたいなものかもしれません。この企画を通してこれらのテーマに挑んだ皆さんはもうお気づきかもしれませんが、自分なりに考えてみること、そしてそれを言葉にしてみることは非常に大切なかけがえのないものです。これからも、己を取り巻く世界について深く自分なりに考え、言語化することの重要性と楽しさを忘れないでください。
また、僕は、文芸の本質とは、表現技法や語彙などを越えて伝わってくる作者それぞれの内面的な深みだと思っているのですが、今回、審査員という立場で1人1人の考え方や想いの多様さと美しさに触れることができ、改めてこんな状況だからこそ文芸が秘める力を実感いたしました。最後になりますが、応募していただいた皆様、そして全オン祭の運営に携わっている皆様、ありがとうございました。
なお、こうした審査員や講演などのご依頼にはできる限りお答えいたしますので、お気軽にinfo@dor-til-dor.orgまでご連絡ください。
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